カウンセラー高山直子

高山直子

高山直子(たかやま なおこ)

2006年11月よりNPO法人じょむのカウンセラーを務める。高い見識と専門性に加え、その気さくで飾らない人柄によって相談者から厚い信頼を寄せられている。自分自身のエンパワメント法は「お笑いを見ること」。

皆さんへのメッセージ

10年以上女性問題に関わり、私が最終的に選んだのは「女性問題専門のカウンセラー」という仕事でした。日本におけるカウンセリングは「精神的に病んだ人」が行くところというイメージが現在も強いですが、私が目指すカウンセリングは、もっと利用しやすいカウンセリングです。

女性問題専門ですから、性暴力やDV問題をはじめ、女性の労働問題にも深く関わってきました。また私自身、アメリカ留学中にストーキング被害を体験し、性的暴力事件のサバイバーでもあります。

カウンセリングを受けた方々が、守秘義務のもと安心・安全を感じながらお話ができる環境を提供し、カウンセリングを通して誰もが元々持っている選択能力や解決能力を引き出しながら、もう一度「信じる力」の芽を出すお手伝いができればと思っています。
あなた自身が、あなたの人生のエキスパートです。自分の勘を信じ、自分らしい答えを見つけ、エンパワメントする機会としてじょむのカウンセリングをご利用ください。
お気軽に足をお運びください。

経歴

1996年 アメリカ・ミシガン州Eastern Michigan Universityで女性学修士取得
1996年~2000年 公益法人の女性団体 勤務
2000年~2003年 IT企業 勤務
2006年 アメリカ・ミシガン州 Wayne State Universityでカウンセリング修士取得
2006年11月~現在 NPO法人サポートハウスじょむ カウンセラー
2009年4月~現在 お茶の水女子大学セクシュアル・ハラスメント等人権侵害相談室 専門相談員
2011年4月~現在 東京都産業労働局労働情報相談センター 心の健康相談室 相談員

カウンセリングにかける思い―高山直子インタビュー

カウンセリングを始め、講座、講演、執筆など幅広い活動を通じ、女性達をエンパワメントし続ける高山さん。悩みを抱える女性の力になるべく精力的に活動する彼女自身の原動力はどこにあるのか、話しを聞いた。

米国でカウンセリング修士を取ることになった経緯を教えてください。

高山直子インタビュー

米国で女性学の修士を取得後、日本に帰国し、女性問題に関わりながら女性団体で働いていましたが、そこを退職して民間のIT企業に転職したんです。団体では歴史的資料の整備の仕事を通しデータ処理に関係する仕事をしていたこともあり、全くの畑違いでしたが何とか転職することができました。

この転職で自分としては、いわゆる「一般的な企業」で働く女性がどのような状況の中で働いているのかを実際に自分も体験してみたいという気持ちもありました。
それまで女性問題に携わって公益法人の女性団体で働いていましたが、ある意味特殊な世界でしたからね。
女性問題に関わっていく以上、一般の企業で働く女性労働の現状を理解しなければという思いもあったんです。
その会社では、女性の派遣労働者が多く働いていました。そして正社員の男性がマネージャーとしてプロジェクトを進めていくという構造で成り立っていました。

プロジェクトリーダーとして責任ある仕事も任されるようになりましたが、3年間働いたのち、留学資金ができたのでカウンセリング修士を取るために再度米国に渡りました。

カウンセリング修士を取られて、帰国されてからじょむに参画されたのですね。

2006年9月に帰国した際、じょむは設立から約4年経っていました。
当時は常駐スタッフを置いていなかったこともあり、利用者が少なく困っているとのことで、私が無償で6ヶ月間常駐して、どれくらい利用者が増えるか様子を見てみましょうということになりました。
カウンセリングを恒常的に提供し、「自己尊重心」や「コミュニケーション」をテーマにした講座も始めたところ利用者は増え続け、2009年には年間延利用者数が1,000人を超えるまでになりました。

お話を高山さんの専門領域である、カウンセリングに移しましょう。
カウンセリングに関する、ご自身なりのポリシーなどはありますか?

高山直子インタビュー2

私はカウンセリングの勉強を米国でしてきたので、日本でのカウンセリングのシステム的な位置付けや資格などについては、実は正確によく知らないんです。
でも相談におみえになる方たちの中には「こういうのが、カウンセリングなんですね」とおっしゃる方もいます。そうおっしゃる方たちのお話では、他の機関でアドバイスをされたり、分析されたり、決めつけられることに違和感を感じたとのことでした。カウンセラーもアドバイスをすることもありますし、ある程度の分析力を求められますが、基本的にはクライアントにクライアント自身を洞察させ、分析させるのを手伝うことが役割だと私は考えています。

私の中では、自分自身がストーキング被害を経験していることもあり、被害者支援という視点では、その人がその人の人生のエキスパートであり、その人が判断し選択する力を引き出すことが重要と考えています。したがって、私のカウンセリングでは、アドバイスは最低限に限っています。
何をどうするか、ということは相談者自身が考え、判断し、選択することであって、そうしたひとつひとつのプロセスが相談者自身の「自尊感情」(ありのままの自分を受け止める力)を上げることにつながっていくと考えています。

被害や心の痛みからの回復には、その人が“ありのままの自分でいい”と思えるようになることも大切な要素のひとつです。まず、自分自身を受け入れられるようになること。自分が楽な状態になることが生きやすさにつながることは少なくありません。

例えば、セクハラ被害と向き合っている場合、相談者の前には難しい選択肢しかないことは珍しくありません。
そうした選択肢には甘い飴はなく、苦い飴、辛い飴、まずい飴の中から、何を選ぶのか。相談者本人が、自分の中でどこに重きを置くか、どのリスクをとるかを決め、選択します。カウンセリングでは、相談者と一緒に考え、質問をしながら相談者に考える機会を提供し、相談者が自分が考えたことや感じたことを説明する中で「認知」につなげていきます。
相談者がその人の人生のエキスパートである以上、相談者自身が判断し選択することに意味があるのです。相談者本人が、その選択肢を選んだ理由に気づき理解することが大事なんです。

高山さんにとってじょむで活動するモチベーションは、どのあたりにありますか?

セクハラなど性暴力被害に遭った女性の中には、休職中・失業中の人も少なくないため、じょむで経済的に困難な状況にある女性たちに質の高いサービスを安価に提供することをミッションの一つに掲げています。正直運営は苦しいのですが、じょむにいらした方たちが、じょむに最初来た時と、帰るときの表情が変わる瞬間を目にする度、私が利用者の皆さんからエンパワーされています。皆さんが、じょむという場所に安心・安全を感じて自分らしさを取り戻して元気になって帰っていく姿を見ることが、私の最大のモチベーションですね。

あと、じょむに関わる人たちは利用者もスタッフも、意識が高いように感じます。そしてオープンマインドなので、堅苦しいところがないのも、私としては楽ですね。自然に人が集まってくるのが、じょむの持つ“不思議な力”なのかもしれません。
じょむを訪れる皆さんが、「安心感があって居心地がいい」と言ってくださるこの場所を、仲間と利用者の方たちと一緒に大切に守って活動していきたいです。

執筆

働く人のための「読む」カウンセリング

「働く人のための『読む』カウンセリング – ピープル・スキルを磨く」

本書は、カウンセリング分野の知識やスキルを紹介し日常生活に生かしてもらうという実用書です。多くのカウンセリング経験、自治体や教育機関での講習会の経験をもとに、「コミュニケーション力を上げるとはどういうことか」「自分の怒りやストレスにどのように対処するのか」「思考がネガティブになっているときに注意すること」「自分の勘を大事にする」など、社会人や学生に必須のポイントを専門家の視点から伝えます。自分の心のクセに気づき、ストレスの少ない生き方をするためのヒントを紹介します。

(株式会社 研究社 2010年2月24日発行)
定価1,404円(本体1,300円+税)

新聞、雑誌などでも執筆する機会をいただいております。