No.32 伝えにくいことを伝えるときに使えるフレーズ

「伝える(発信)」をテーマに15回にわたって「肯定的に話し、相手が耳を傾けやすくする」意識やスキルを共有してきましたが、最後に伝えにくいことを伝えるときに使えるフレーズについて補足します。

私たちは伝えやすいことや、相手が耳を傾けやすいことは、躊躇せず本題を伝えることができます。一方、伝えたら相手がどんな反応をするか、伝えて相手を傷つけたり不快にしてしまわないかと心配なことは、伝えていいものか躊躇し、どう切り出していいかが分からず、結局伝えないままになってしまうことも少なくありません。こうしたときは、伝えて大丈夫か自分が躊躇していることを素直に相手に伝えてから本題を伝えるという方法があります。

例えば、

(1)お伝えしようかどうしようか迷ったのですが、やはり伝えた方がいいと思ったので、お伝えしてもいいですか?

⇒相手に伝えにくいことを今から伝えられるという心の準備をさせることにもなりますし、「今思いつきで言っているのではなく、熟考した結果伝えようと思った」という誠意を示すことができます。

(2)私が(気にしすぎかもしれないのですが、)ちょっと気になっていることがあるのでお伝えしてもいいですか?

⇒「私」が気になっている段階で、ただこのまま流していいものか迷っているので、念のため伝えるという意味で、相手も自分のことを思って言ってくれているのかもしれないと耳を傾けやすくなります。これが「一般的にどうかと思うので」や「みんなが気にしているので」と言ってしまうと、相手に与えるプレッシャーが大きくなり、ただの批判や非難と捉えられてしまい、本題を伝える前に相手の耳をシャットダウンさせてしまうリスクが高くなります。

(3)もし間違っていたらそう言ってくださいね。

⇒特に上下関係においては、位置的に下にいる人が上にいる人に「間違っている」と伝えることは難しいものです。「間違っていると言っていいですよ」と先に伝えることで、相手に自分の意見を言うことを奨励することができます。そして、自分もそう言った手前、相手の意見に耳を傾けようという意識が自然と高くなります。このように伝えても、相手が素直に「間違っている」と言えないことはあるかもしれませんが、自分としては相手にその機会を提示したという事実は変わりません。

このように相手に「これから伝えにくいことを伝えますよ」という心の準備をさせることで、相手が耳を塞ぐタイミングを遅らせることができるのです。相手に伝えることを躊躇している時点で、相手に何かしら配慮している可能性があります。であれば、自分が相手のことを配慮していることを伝えてあげた方が、相手もあなたの言葉を受け止めやすくなると思ませんか?