No.24 アイ・メッセージ (1)

これまで「発信」作業として「質問スキル」「妨害になる言葉と言い回し」「受け止めることの効果」についてお話してきましたが、ここからは、自分が伝えたいことに相手が耳を傾けやすくするためのトリックについてお話します。それが「アイ・メッセージ」です。

「アイ・メッセージ」の「アイ」には、英語の「eye(目)」と「I(私)」の両方の意味があります。まずは、「eye」の方から説明しましょう。

この「eye」は、コミュニケーションにおける「アイコンタクト」のことです。「アイコンタクト」は、意思の疎通をスムーズにする重要な要素の一つだからです。確かに言葉として何かを「発信」しているわけではないですが、相手に視線を向けるだけで「私はあなたの話に関心がありますよ」というメッセージになります。クライアントさんの中には、アイコンタクトが苦手で目を合わせようとしない方もいらっしゃいます。そういう人が話している間少しでも楽な状態をつくるために、私はできるだけクライアントの真正面ではなく、少し斜め前に座るようにしています。そうすることで、クライアントが話の途中で視線をはずして少し息を抜けるようにしているのです。ただし、クライアントが私の目を見ていなくても、私は必ずクライアントの目を見て話をし、聴いています。なぜなら、目が合っていなくてもクライアントは私の視線を感じているからです。

非常に面白いのですが、アイコンタクトが苦手なクライアントでも、私がセッションの終了時間をチェックするために時計にチラッと目をやると、それに反応し「そろそろ時間ですよね」などと言われたりすることがあります。こちらを見ていなくても視線を感じているということです。そして、視線を感じることで「真剣に話を聴いてくれている」「自分の話に関心を持ってくれている」「きちんと向き合ってくれている」と判断している可能性が高いのです。

そして、アイコンタクトがなぜ重要かというと、アイコンタクトは「共感脳」を刺激し、「共感脳」の活動を活発にすると言われているからです。「共感脳」とは、脳の前頭前野の真ん中の部分です。アイコンタクトの有無で話し手の共感脳の活動に大きな差があるという研究結果が出ています。共感脳が活発であればあるほど話し手はもっと話したいと思い、会話がはずみます。さらに聴き手の共感脳もアイコンタクトによって活発になることが分かっています。

相手の目を見ることが苦手な人は、顎や襟元、ネクタイの結び目などを見るとアイコンタクトの代わりになります。次回は、もうひとつの「アイ」=「I(私)」について、お話します。