No.23 こぼれ話

今回は一息入れて、いつものコラムとは違い2月に出版された私の本「働く人のための『読む』カウンセリング」の裏話を書くことにしました。「あとがき」で簡単に触れているのですが、この本の出版には、いろいろな偶然が重なっています。

この本を書くきっかけは、じょむの副代表理事であり国際基督教大学(ICU)教授の田中かず子先生が、同大学のジェンダー研究センターと就職相談グループ共催で就活中の学生を対象に開催した講演会に、アメリカから帰国したばかりの私を抜擢してくれたことに端を発します。私が帰国後初めて大学で行ったこの講演のタイトルが「燃え尽きない働き方」(2007年7月)でした。

講演後、ジェンダー研究センターのスタッフが私の90分間の講演録をテープからおこして、同センターのホームページに掲載してくれました。それから約1年半後、突然(株)研究社の吉井瑠里さんから「講演録のような内容をもっと多くの人に知ってほしいと思ったので是非本にしたい」とメールがありました。

この本の編集を担当してくれた吉井さんは、ICUの卒業生で、本になりそうなネタを探していて母校のホームページを覗いたところ私の講演録を見つけたそうです。この本のタイトルを考えてくれたのも吉井さんです。

まさか自分が本を書くことになるなどと想像もしていなかったので、私みたいな素人が書いていいものなのかとも迷いましたが、「偶然(coincidence)」という言葉が好きな私としては、「こんな偶然(縁)は滅多にない」と、思い切って書くことにしました。

実は、このICUでの講演は、他にも素晴らしい縁をもたらしてくれました。1つは、ジェンダー研究センターの通信にこの講演の報告が掲載された時、同通信の購読者で和歌山県立医科大学保健看護学部で教鞭をとっていらっしゃる西村賀子先生から「是非保健看護学部の学生にも聴かせたい」と依頼があり、特別講義の機会を毎年いただくようになりました。3Kといわれる肉体的にも精神的にも過酷な労働に携わる看護の世界で「燃え尽きない働き方」のヒントにしてもらおうと始めた講義も今年で3年目です。

もう1つは、ICUでの講演の時に前の方の席でキラキラと目を輝かせて私の話を聴いていた当時ジェンダー研究センタースタッフだった大学院生が、後にじょむの運営委員になってくれて、今年からじょむの事務局を引き継いでくれている二木泉さんです。

2007年のICUでの講演が本の出版や人との出会いにつながっていく過程は、私に「わらしべ長者」の物語を思い起こさせます。私の話は決して新しいことでも珍しいことでもありません。普段多くの人が頭のどこかで思っていること、考えていることだと思います。私の話は、言ってみればただの「わら1本」にすぎません。しかし、そこからのつながりは未知であり、無限です。こうした「偶然(coincidence)」を大切にしながら、これからもつながり、広がっていけたらと思っています。 

偶然を引き起こしてくれた方々に感謝。そして、このコラムを読んでくださっている方々にもこの場を借りて感謝。次回からは、またカウンセリングについて書いていきまぁ~す。