No.4 カウンセリングとリスニングスキル – 傾聴するプロセスで重要なポイント

「Non-Judgmentalな質問をする上でのキーポイント2」

前回、クライアントの世界と判断と選択を尊重しNon-Judgmentalに傾聴するプロセスにおいてクライアントの話の中に

  1. 矛盾
  2. 極端な思考
  3. 思考パターン
  4. 行動パターンがない

かを見つけ出すことが、カウンセラーが客観性を生かせる基本的な要素となることをお話しました。

今回は、これら基本4要素に加えどんなことに焦点をあてて、注意して傾聴し質問するかについてお話します。

1. どれくらい現実的か、非現実的か

クライアントは、話の中で「ああしたい」「こうしたい」「こうあってほしい」という思いや考えを述べます。それらがどれくらい現実的かを認識できるように質問すうこともカウンセラーの重要な役割です。さらに内容が現実的もしくは達成可能であることが確認できれば、それがどれくらい近い将来に可能なのかを対話を通して確認していきます。特にクライアントが感情を抑えられず冷静に考えることが困難な場合や、とにかく現状から抜け出したい、または現実から逃避したいという姿勢が伺える場合は、現実性の認知の作業を通して感情と思考のバランスを少しずつ取り戻す方向に誘導することができます。非現実的な話を積み重ねても実際に取り組まなければならない問題に向き合う機会を失うことになり、クライアントも何も実際的な解決につながらないカウンセリングだったと満足感を得られないばかりか、消化不良になってしまうこともあります。ただし、クライアントが気持ちを表現しやすくするために「現実的か否かを抜きにして、どうしたいですか?」とまず問いかけることが必要なこともあります。
(CL:クライアント/CO:カウンセラー)

例)CL「今すぐ会社を辞めて留学したい。」
  CO「どこに留学したいか具体的にイメージしているところがありますか?」「留学費用についてはどう?」

2. クライアント本人がコントロールできることは何か、できないことは何か

 私のクライアントの多くは、自分の経験した理不尽で不公平な事柄にストレスを感じ、対処の仕方に葛藤しています。また、人間関係という問題では、「自分だったらこう考える(こうする)のにどうしてあの人にはわからない(できない)のか?」と自分と他人の価値観の違いに戸惑ったり、イライラしたりする人もいます。こうしたケースの中には、残念ながらどんなにクライアント本人が正しくとも相手や現状を変えることが困難なことがあります。実際、たった一人の人間の力で他人を変えたり、社会システムを変えるということは非常に難しいことを私たちは知っています。そうした現実の中では、「自分にできることは何か」を考えるように質問していくことが実際的な解決または解決のヒントにつながるといえます。

例)CL「セクハラの加害者である部長を辞めさせたい!」
  CO「確かにセクハラをする人間が会社にいるだけでなく、部長という役職に就いていることは許せないと感じて当然だと思う。私たちに今すぐ彼を辞めさせる方法はあると思う?」「すぐに加害者や会社を変えられなければ、今もしくは明日あなたが会社に行ってセクハラを受けそうになった時(受けた時)、あなたにできることは何かしら?」

3. “今、ここで”の視点での考えや感情

 クライアントの中には、過去にあったことを現在のことよりも多く話す人がいます。過去の内容もクライアントが考えを整理したり、カウンセラーが情報を得るプロセスとして非常に大切です。他方、残念ながら過去を変えることは誰にもできません。どんなに過去の話が重要な内容であっても、かならずセッションの最後にはクライアントに現在=“今、ここで”何を感じ、考えているかを質問し、今生きている世界(現実)に引き戻すようにします。
例)CO「今日は子供の頃の親との関係について話してくれたけれど、今ご両親のことをどう思っているの?」「今日話してくれた子供の頃のお話は、今あなたが問題に感じていることとどう関係があるのかしら?」
 これら3つのポイントに注意して耳を傾け、Non-Judgmentalに質問していくこともクライアントが現実としっかり向き合い、問題を解決する、または解決のヒントを自分の力で見つける助けとなります。