No.1 カウンセリングとリスニングスキル – クライアントの話の内容について判断しない姿勢

「Non-Judgmental」このコラムを通して、じょむの常駐カウンセラーである私がカウンセリングの知識やテクニック、そしてじょむでのカウンセリングを通しての私の経験を読者の方々と共有できれば嬉しいです。

カウンセラーとしてクライアントの話を聞くプロセスの中で、最近特に大切だと再確認する要素があります。それは、Non-Judgmental(カウンセラーや相談を受ける人が、クライアントや話の内容について批判しない、または良し悪しを判断しない姿勢)であるということです。

カウンセリングを受けにくる人や相談にくる人の多くは、自分が話す内容をもとに、聞き手が自分をどう思うか感じるかについて意識的にも無意識的にも敏感になっている傾向があります。そのような状況でカウンセラーが言った一言が断定的に聞こえたり、解釈されることは、クライアントとの信頼関係を築く過程で大きな影響を与えることもあります。

私がアメリカの大学院のカウンセリングの修士課程にいたころ、私はクライアントの話に”That’s good(よかったわね)”などと当たり前のように相槌を打ち、クライアントが話しやすいように促す、また励ます意味もこめて傾聴のテクニック(encouragement)のひとつとして使っていたのですが、ある日の授業で教授が”That’s good”も”That’s right(そうね)”も実はJudgmentalな(良し悪しをカウンセラーが判断していることになる)対応だといわれた時、はっとしたことをよく思い起こします。

私がどんなにクライアントを想い共感してクライアントの話に肯定的に反応したとしても、最終的に(良し悪しを)判断するのはクライアントでなければいけません。判断する力が弱まっているクライアントにとっては、私の非常にシンプルな「よかったわね」や「そうね」という言葉も実は答えや価値観を提示していることになり得るということです。

では、相談者が「こういうことってすごくひどいと思いませんか?」と、非常にひどいと聞き手が共感できる話をしたら、聞き手はどう応えればいいのでしょうか?このような場合、私は自分が同感する前に(「そうね」と言う前に)まず相談者に「あなたはどう思うの?」と問い返します。すると相談者の中には、「すごくひどいと感じました」という人もいれば、「すごくひどいと感じたんだけど・・・」と、そこに係る詳細を説明し始める人もいれば、さっきまでの勢いとは裏腹に黙ってしまう人もます。言い換えれば、相談者が誰かに同意を求め判断の責任を誰かに転嫁しそうになる行動パターンを聞き手が認識し、相談者がまずどう思ったか(感じたか)を自分の言葉で明確に述べることにより、自分の価値観の中で判断しているという認識(自覚)を持てるようにしていくことが大切です。

相談者が自分の言葉(考えや感覚)に責任を持つ力を取り戻すためにも、聞き手は辛抱強くより意識的にNon-Judgmentalである必要があると感じます。肯定的に相槌を打つことも、自分の価値観を述べることも、アドバイスをすることも、相談者を想って傾聴していることになりますが、相談者よりも先に聞き手が判断する結果となってしまっては、相談者が判断する機会を奪うことになるだけでなく、判断の責任を聞き手が負うことになってしまいます。

Non-Judgmentalひとつをとっても、人の話を聞くという作業は非常に深く重要な課題だと痛感する今日この頃です。