No.21 意思の疎通における葛藤をめぐる4つのパターン (2)

前回から相手の気持ちを「受け止める」という行為の効果について、「葛藤をめぐる4つのパターン」を例にお話しています。ここでは、以下のパターンの2と3について解説します。
意思の疎通における葛藤をめぐる4つのパターン:
1.    相手の気持ちを受け止めて、行動も受け入れる
2.    相手の気持ちを受け止めず、行動も受け入れない
3.    相手の気持ちを受け止めず、行動は受け入れる
4.    相手の気持ちを受け止めて、行動は受け入れない

前回と同じ上司Aが終業15分前になって部下Bに明日の昼休み後の幹部ミーティングに使う資料づくりを依頼したケースにおいて、パターン2の「相手の気持ちを受け止めず、行動も受け入れない」とはどういう状況をいうのでしょうか?

それは、部下Bが上司に対し「そんなぁ。終業時間直前になって言われても困ります。今日はこれから譲れない予定があって残業しないで退社するつもりなんです。すみませんが、他の方にお願いしてください。」と、上司Aが急いでいるという気持ちを受け止めず、資料づくりをせずに帰る(行動も受け入れない)ことです。このパターンでは、上司Aにより大きなストレスがかかります。なぜなら部下Bは、上司Aの立場に立つことも共感を示すこともしないため、上司Aは部下Bに理解されなかったと思うどころか拒絶されたと感じ葛藤が生じます。

部下Bに拒絶されたと感じた上司Aは「こんな奴には仕事は頼めない!」と憤慨し、部下Bを信用しなくなるかもしれません。部下Bにしてみれば、終業時間前になって急ぎの仕事を持ってくる上司Aを非常識な人だと感じ、友人との約束をキャンセルしなければいけないかもと思った途端につい感情的な物言いになってしまったかもしれません。従ってこのパターンでは、意思の疎通としては、決裂し、信頼関係が崩壊します。

次はパターン3の「相手の気持ちを受け止めず、行動を受け入れる」です。これは、例えば、部下Bが「終業時間直前に言われても、今日はこの後約束があるので誰か他の人に頼んでください。」と上司の気持ちを受け止めなかったのに対し、上司が「急いでいるから。他の人も忙しいし。頼んだよ。」と部下Bに業務を押し付け、部下Bは友人との約束をキャンセルして、ぶつぶつ文句を言いながら、コピー機のカバーの開け閉めに大きな音をたて、顔と態度に不満を露にして残業をする(行動は「受け入れる」)状況です。

部下Bは、上司Aに対して共感を示さず、ただ嫌々行動を受け入れているため、せっかく部下Bが上司Aの要求に応じていても、上司Aとしても部下Bの不満そうな態度に素直に感謝の気持ちを伝える気にもなれません。そうすると、両者に葛藤が生じます。もちろん意思の疎通としては、互いに反発し合い、不信感を募らせ信頼関係の構築が難しくなります。このパターンでは、部下Bが行動を受け入れているにもかかわらず、互いに大きなストレスを抱えることになります。従って、このパターンは一番避けたいところでしょう。

次回は、「相手の気持ちを受け止めて、行動は受け入れない」パターン4を考えてみましょう。