No.20 意思の疎通における葛藤をめぐる4つのパターン (1)

前回「受け止める」と「受け入れる」は違うとお話しましたが、それに関連して、意思の疎通における「葛藤をめぐる4つのパターン」について、何回かに分けてお話したいと思います。
意思の疎通における葛藤をめぐる4つのパターンとは、以下のとおりです。
1.    相手の気持ちを受け止めて、行動も受け入れる
2.    相手の気持ちを受け止めず、行動も受け入れない
3.    相手の気持ちを受け止めず、行動は受け入れる
4.    相手の気持ちを受け止めて、行動は受け入れない

上記の4つのパターンをもう少し分かりやすくひとつずつ説明していきましょう。まず、1つ目のパターンの「相手の気持ちを受け止めて、行動も受け入れる」とは、どういうことかというと、例えば次のようなシチュエーションを想像してみてください。

上司Aは部下Bにしばしば終業10分前になると仕事を言いつけます。今日も上司Aは、終業15分前に部下Bに「明日の昼休み後に開かれる幹部ミーティングに使う資料をコピーして、セットしてくれ。大事な資料で急いでいるから頼むよ。」と声をかけてきました。頼まれた業務は、ざっと見積もっても1時間半~2時間はかかる量です。しかし、部下Bは、今日は仕事の後、5年ぶりに会う友人と人気のレストランを予約して食事に行く約束があるため、残業はせずに帰りたいと思っています。この時、部下Bが「相手の気持ちを受け止めて、行動も受け入れる」とはどういうことでしょうか?
それは、部下Bが「そうですか。急いでいらっしゃるんですね。分かりました。」と上司Aの気持ちを受け止め、友人との約束をキャンセルし、資料をコピーしてセットするために残業をし、行動も受け入れるということです。
このパターン1では、上司Aと部下Bのどちらによりストレスが発生するでしょうか?もちろん、終業時間15分前に業務を依頼され、友人との約束があることも伝えられず、友人との約束をキャンセルして残業をした部下Bの方です。

部下Bは、上司Aとの関係上波風を立てずにすみますが、「できれば残業をしないで今日は退社したい」という自分の意思を伝えられなかったという葛藤が生じます。普段から終業時間前になって仕事を頼んでくる上司Aに対し、部下Bはすでに不満を感じているにもかかわらず、この件では、上司Aと部下Bの間では意思の疎通がなく、上司Aの要求を部下Bが一方的に呑んでいるため、上司Aにしてみればいつものように業務をお願いしただけと思っていても、部下Bの不満や不信感に拍車がかかる怖れもあります。この二人の信頼関係の構築という点では、部下Bは上司Aにコントロールされているような不安と不満を感じ信頼関係の構築は難しくなります。

次回は、葛藤パターン2の「相手の気持ちを受け止めず、行動も受け入れない」と葛藤パターン3の「相手の気持ちを受け止めず、行動は受け入れる」について、説明します。