No.14 相談者に考えさせ、認知と意識につなげる質問スキル

相談を受ける上で相手の話をジャッジしないで耳を傾け、質問をすることが重要であると説明すると、「じゃぁ、相談を受けたとき、自分の考えや感じたことを相手に伝えてはいけないのですか?」とよく質問されます。

カウンセラーがクライアントの話を聴いて感じたことや思ったことを伝えなければ、カウンセラーがクライアントの目の前に座っている意味はないかもしれません。このコラムのNo.7にも書きましたが、カール・ロジャースも「ありのままの対等な一人の人間としてクライアントと率直な対話を行うこと=Genuineness」の大切さを説いています。

カウンセラーにとって、話を聴いて感じたことや思ったことをクライアントに返していくことも大切な役割のひとつです。ただ、いかに自分の感じたことや思ったことを相手が聞きやすく、受け止めやすく伝えるかが、カウンセラーに求められるスキルともいえます。

コラムのNo.3とNo.4に相手の話を聴く上で何に焦点をあてるかについて話しました。焦点をあてるポイントとして、

①相手の話の中における矛盾はないか?
②極端な考え方になっていないか?
③思考や行動にパターンはないか?
④どれくらい現実的か非現実的か?
⑤自分でコントロールできることは何か?
⑥「今、ここで」の話をしているか?

を挙げましたが、これらの要素をもとにカウンセラーが感じたことや思ったことをクライアントに伝えることで、クライアントは自分の考えや感じていることを整理しやすくなります。
しかし、単に「あなたの話の中には矛盾があると思う」とか「あなたの考え方は極端に感じる」と伝えたのでは、クライアントは自分が批判(ジャッジ)されているように感じるかもしれません。そこで、カウンセラーが伝えたことをできるだけ批判や非難(ジャッジ)に聞こえないようにする方法が、「質問形式」です。

私は、クライアントの話を聴いていて自分の感じたことや思ったことをクライアントに伝えるときは、「私には、あなたの○○という考え方が、ちょっと極端に感じるのだけれど、あなたはどう思いますか?」と、自分の意見を言ってからクライアントに「あなたはどう思う?」「あなたはどう感じる?」と質問するようにしています。

質問形式にすることで、確かに私はクライアントの話から何かをジャッジしているのですが、「これはあくまでも私があなたの話を聞く中で感じたことで、あなたがどう感じているかを知りたいです」というニュアンスが生まれ、クライアントもカウンセラーが言っていることに耳を傾けやすくなる傾向があります。

ただ自分の意見を言うのではなく、最後に「あなたはどう思う?」と質問形式にすることで、「今は私がどう感じたかということより、あなたがどう感じているかがより重要なんですよ」というメッセージになることもあります。

いかに相手に耳を塞がせずに自分の感じたことや思ったことを伝えるかは、カウンセリングスキルのひとつですが、こうしたちょっとした工夫は、普段の生活における人との対話をよりスムーズにする道具として役立てることができるかもしれません。