No.5 カウンセリングとリスニングスキル – 沈黙について

今回は沈黙についてお話したいと思います。

人と話をしていてお互いに沈黙してしまう瞬間が、どこか居心地が悪かったり、不安に感じたり、苦手だという人は少なくありません。カウンセリングや相談の過程においても沈黙はもちろんあります。話を聞く側として、相手が黙ってしまうと「どうしよう?」「何を言おう?」と焦りを感じることもあるかもしれませんが、実はカウンセラー(聞き手)にとっては「沈黙は味方」と言っても過言ではありません。

私の経験では、クライアントとの間に40秒以上の沈黙が続くということは滅多にないことです。実は、聞き手であるカウンセラーが沈黙に対して「どうしよう?」と思う以上に話し手であるクライアントも「何か言おう」と感じていることが多いのです。したがって、沈黙が逆にクライアントに話そうと思わせる適度なプレッシャーになるとも言えます。
クライアントが黙ってしまうと、カウンセラーはつい「私の質問がお門違いだったのか?」「何か傷つけることを言ってしまったのか?」と不安になったりしますが、こういう時こそ焦ってもう一度同じ質問を違う言葉でしてみたり、何か他のトピックに移るということをせず、クライアントの方から沈黙を破るようにじっと待つことが重要です。

もしかしたらクライアントは何をどう説明するか考えを整理しているかもしれません。自分の言葉を探しているかもしれません。何か違うことを思い出しているのかもしれません。聞き手が沈黙に絶えられずにどんどん質問を重ね、まるで詰問や尋問のようになってしまうよりも、クライアントに沈黙を破らせるように何も言わずに待つ方が、クライアントにとってはやわらかなプレッシャーですし、信頼関係を壊すリスクも少ないと言えます。

沈黙の間カウンセラーが注意しなければいけないことは、アイコンタクトです。クライアントが目を合わせないようにしていたとしても、沈黙の間カウンセラーがクライアント以外に目を向けていると、クライアントは「自分の話に興味がないのか?」「黙ってしまったのであきれているのか?」と不安になります。
沈黙の間のアイコンタクトは、「沈黙によってあなたをJudge(判断)しませんよ」「私はあなたの話をあなたのペースで聞きますよ」というメッセージにもなります。もしクライアントが長い時間黙っている場合は、もしかしたらまだ話すには心の準備が十分ではないのかもしれません。そのような時は、「今でなくても、いつでもまた話したいと思ったときに話しくれればいいですよ。」と「今話さなくてもいい」という選択肢を提示することも大切です。沈黙は味方であり、沈黙を味方にすることでクライアントのペースで話を聞き、信頼関係構築に役立てることができるのです。